bntduyの日記

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北米ファンフェス開発者パネル

11月17日(土)、北米ファンフェスで基調講演の後、開発パネルで絶アルテマ企画担当の横澤氏が登壇した。

当ブログでは絶アルテマウェポンの感想を述べて一連の記録を結んだが、開発パネルの内容を見るに、我々は横澤氏の掌の上で綺麗に踊らされていたことが実によくわかる内容であった。

また、今後の絶シリーズ含むレイドコンテンツを考える際に今回の開発パネルの内容が役に立つと感じたため、本記事に記録しておくことにする。

なるべく発言内容を変更しないように気を付けてはいるが、語尾や感嘆符等細かい点は修正している。

2018/11/18 文字を追加した。後で注釈を追加する。

 

 

 

 

(吉田P/D)いやー...基調講演やって疲れた。こっからは僕じゃなくて、横澤がメインで話していきますので、よろしくお願いします。
まず最初に、横澤の方から挨拶してもらおうと思います。

(横澤氏)では改めまして...FF14リードバトルシステムデザイナーの横澤剛志(Yokozawa Tsuyoshi)です。よろしくお願いします。

(吉田P/D)じゃあ自己紹介をドンドンしていってもらおうかな。

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(横澤氏)簡単に自己紹介をさせていただきます。ゲーム開発歴は12年くらいやっています。
14に来る前はプログラマをやっていたんですけど、14が新生するときにバトルシステムデザイナーとして異動してきました。

(吉田P/D)ちょっと変わった経歴ではあるよね。しかもプログラマーやってたころはかなりオンライン(ゲーム)に特化したプログラマだったんですよね。

(横澤氏)はい。この(開発歴)12年は、全部MMORPGの開発に絡んでますね。MMORPG大好きなので、当然WoWもやってました
会社の人とやってたんですけど、結構偉い人たちと一緒にやっていたんですけども...やってるとちょっと熱くなっちゃって、トンデモないことを言ったり...

(吉田P/D)有名な彼のエピソードが一つあって、レイドのギミックを踏んでしまう上司が当時いたんですね。
その上司が言いました。「俺の画面では避けてたんだよな~」
その時君なんて言ったんだっけ?

(横澤氏)「じゃあ再インストールしてきてください」

(吉田P/D)まぁそういう男です(笑)。
じゃあリードバトルシステムデザイナーってどういう仕事なのか説明してもらえるかな?

(横澤氏)例えば、通信ラグを考慮した移動やアクションの処理の仕組みを考えたり、チートとかに対する適切な処理の仕組みを考えたりとか、
プレイヤーの皆さんが普段意識する必要がないけど、ゲームにとって必要な部分を考える人達を、バトルシステムデザイナーとしています。
ただ他にわかりやすい所だと、バトルの計算式を考えるとか、ジョブのデザインをするのもバトルシステムデザイナーの仕事です。

(吉田P/D)さっきも言いましたけど、青魔導士は彼がシステムデザインをして、開発の陣頭指揮を執ってもらってます。

(横澤氏)ただ、システム系の仕事って、普段から沢山あるわけではないので、手が空いてる時バトルコンテンツをやったりとか、
エギミラプリみたいな、システムとは違ったところの仕様を考える仕事も受け持つことがあります。

(吉田P/D)じゃあ、彼がどんなコンテンツやシステムを開発してきたかを紹介しましょう。
(スライドに木人討滅戦、モグル・モグXII世討滅戦、邂逅5層、ラムゥ討滅戦、アートマ集め、ストーンヴィジルHARD、ビスマルク討滅戦、死者の迷宮、絶アルテマの画像)
かなりいろんなものを作ってきていますよね。一覧にするとこんな感じです。

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(吉田P/D)彼が一番最初に大きく手掛けたのが...大迷宮バハムート邂逅編のボスは全部(横澤氏が)一人で作ってます。
あとは...話題になるのが色々あるね。マニピュレーター...
例えばディープダンジョンみたいなFF14の中に全く新しいタイプのコンテンツを実装しようという時は、大抵彼が僕から無茶なお願いをされて、システムデザインをすることが多いです。
例えばアメノミハシラに関しては、最初にシステム設計が死者の迷宮で終わってるので、若いスタッフに任せて彼は監修に回ってるように、人を育てることもやってもらってます。
だからZWストーリーなんかもね、アートマ集めを作ってくれたのは彼です。

(横澤氏)アートマに関しては、吉田の方から「80時間かかるものを作れ」っていうオーダーがあった。僕はその通りに作っただけなので...

(吉田P/D)確かに。アートマがドロップしないのは彼のせいではなく、恐らく僕のせいです。
なので、彼のことを会場でみかけたら、Mr.アートマと呼んであげてください。
後思い出に残ってるコンテンツだとどれ?

(横澤氏)ラムゥに関しては、評判はともかくとして、自分の中では凄く上手に作れたと思います。
良くも悪くも印象には残ったかなと。

(吉田P/D)まぁ理詰めで作られてるよね。今日はそんな中から、こちら。絶アルテマウェポン破壊作戦をお願いしましょう。

(横澤氏)じゃあ、どういったとを考えながら、絶アルテマウェポンの企画をしていったかについて、今日はお話をさせていただきます。

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(横澤氏)まず、絶アルテマウェポンには、二つのコンセプトを建てました。
一つ目は、攻略速度による二つの難易度
プレイされた方は感じてたと思うんですけど、最初に攻略する人はとても難しくて、後にやる人はそこまで難しくないようになってたと思います。
初期攻略に取り組むプレイヤーにはギミックの攻略の過程自体に驚きとか、楽しさといったの付加価値を今まで以上につけてあげたかった、という目的がありました
逆に、後期攻略のプレイヤーには、皆で協力して絶シリーズのコンテンツをクリアできたという成功体験が最も重要だと考えました。
なので、そこに向けてベストなバランスになるように企画を建てました。

(吉田P/D)今日この会場でどのくらいの人クリアしたんですかね?絶アルテマウェポンクリアしたよって言う方?... おー結構いますね(会場の1割前後?)

(横澤氏)で、あわよくば、絶アルテマをクリアした後に、絶バハムートの方にも挑んでもらうステップの一つとしても考えてもらえたらなと思ってます。
じゃあ二点目。二点目は、「ストリーミングの盛り上げ」というコンセプトにしました。
これは絶バハムートのときに、初期攻略勢の配信を多くのプレイヤーが視聴する文化が、今まで14にはなかったんですけど、出来上がってたんですね。
これはFF14では、どちらかというと今までは(そのコンテンツをクリアしたという)結果の方が強く求められていた傾向にあったので、
攻略を皆で楽しむという文化が出来たのであれば、これを前提にしたものが作れると考えた
そこで入れたのが、この覚醒ギミックです。
一応覚醒ギミックを知らない方の為に、簡単な説明をさせていただきます。

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(横澤氏)覚醒ギミックは、各蛮神に、それぞれを象徴する属性の攻撃を当てることによって、エーテルを吸収させて、単純にパワーが増したり、攻略法そのものが変化するギミックのことを言います。
このギミックは、例えば、出来るだけダメージを食らわないようにしようとか、敵に強化ステータスがつかないようにしようという通常のレイド攻略の考え方で臨んだ時は、覚醒ギミックそのものに気付かないようになってます。

(吉田P/D)皆さんが普段レイドクリアしようとするときに、ボスがパワーアップしてしまうようなAoEが出てる場合、当然タンクの人はボスを別の場所に連れて行こうとする。
でもそれによって実はコンテンツ自体がクリア出来なくなる、というのが今回、大きな「全体を通じてのギミックになっている」っていうところだよね。

(横澤氏)これだけ聞くと、きっかけというか、単純に性格の悪いやつっていう思われ方をするかもしれないんですけど。
実際はそれだけじゃなくて、色々考慮しなければならないことがあったから、こういう物を考えたんです。

(吉田P/D)まぁでも、性格良くはないよね...

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(横澤氏)暴言上司に吐いちゃう...w
で、その理由なんですけども、内部事情的な話になってしまうんですけど、絶コンテンツは基本的には既存のリソースをそのまま使用することになるんですね。
それを今までと同じ使い方をしてしまうと、同じようなギミックになってしまう。
でも、絶だからと言って、突然ガラリと変わってるっていうわけにもいかない。
でも新しいことをやろうとすると、新しくリソースを作らないと行けなくなって、コストがどんどん増えてしまう、
という悩みを解決する一つの案として、覚醒という概念を、攻略法を変化させる説得力として使用しようと考えました。
変化の要因は二つあって、一つは、覚醒をさせるための攻略の変化
これは先ほど説明した、蛮神を覚醒させる攻略をしないといけないもので、各蛮神に別々の覚醒方法を用意してあるので、それを探すところから遊びになってます。
そしてもう一つが、覚醒をしたことによる攻撃の変化。これは、例えば、タイタンがランドスライドを撃った後に、左手でも(ランドスライドを)撃ってきたりとか、
ガルーダのダウンバーストが、覚醒したから頭割りの攻撃に変化したりとか。

(吉田P/D)実際、絶シリーズのコンテンツを作るときに、なにもケチで一切(コンテンツに)新しいリソースを使うなって言っているのではなくて、
今あるリソース、それからロジカルに作るっていうことの二つを兼ね備えないとあのスピードで(絶コンテンツの)開発ができないっていうところがあって、
非常に作る難易度が高いコンテンツでもあります。
FF14チームの開発には非常にたくさんのゲームデザイナーがいますが、絶シリーズのコンテンツを企画できるのは彼を含めて3人しかいません。
それくらい開発が難しいっていうのを覚えてもらえるといいと思います。

(横澤氏)その中で、コスト周りっていうのはどうしても実装上の制約になることの方が多いんですけども、
今回に関しては、コストを抑えつつ、新しい攻略を作ることができる覚醒というものを思いついた要因の一部になったという話です。
ただあくまで、要因の一部というだけなので、覚醒ギミックをやろうと思った本当の意志(意図)はまた別にある。
それは...

(吉田P/D)やっぱり性格が良くないよね(笑)

(横澤氏)まぁちょっと見出しが悪いですけど...(笑)
ちゃんと説明をします。

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(横澤氏)ここに、コンセプトの一つであった、ストリーミングのの盛り上げというのが大きく関わってます。
FF14の高難易度のコンテンツは、まずクリア動画がでてから、ギミックのことを調べて、それと同じ動きをしてクリアするというのが一般的な楽しみ方になってます。
経緯より正解が強く求められる傾向があったんですね。
でも絶バハムートのときに、コンテンツの攻略配信を皆で見て楽しむという文化が開拓されたのを見て、これなら新しい体験が提供できるのではないかと考えました。
「今まで正しいと思っていたのもが、実は間違いだった」という絶望感を視聴者含めて皆が共有すること、この体験こそがこのコンテンツのエンターテイメントとして成立するのではないかと考えました。

(吉田P/D)実際、絶アルテマウェポンリリースされて、僕らもTwitchで世界中のプレイヤーの皆さんの攻略を見てました。
プレイしている方は当然一所懸命やってるんですよ、見てる人たちのコメント「あれっ、簡単だね。これ明日の朝にはアルテマウェポン破壊されてるんじゃないかな?」
でもどの蛮神も覚醒してない。(ニヤニヤ)あなた(横澤)さ、凄いニヤニヤしてたよね。

(横澤氏)だって皆想像通りの間違え方してくれるから...(笑)顔が戻らなくなるんじゃないかって。

(吉田P/D)その日の夜、「こりゃ寝て起きたら、攻略終わってるな」って雰囲気の中、翌朝起きてきたプレイヤー達がまたライブストリームを見たら...
「どうだった?え、まだガルーダと闘ってるけど...」みたいなね。
(タイタンを)倒したと思ったら待ってたのがガルーダだったっていうね。*1
本当に申し訳ないけど楽しかった(笑)。
じゃあ、アルテマウェポンの中身がどういう風に作られていったのかを紹介してもらいましょう。

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(横澤氏)ここからが本番ですね。
アルテマは、大きく5フェーズに分けて作られています。
ガルーダ、イフリート、タイタン、ラハブレアとアルテマウェポンの5フェーズです。
飽きないようにそれぞれのボスで全く違ったゲーム性になるように企画を組んでいます。
じゃあまずガルーダから説明いたします。

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(横澤氏)ガルーダのコンセプトは「気圧」ですね。高気圧と低気圧っていう二つの気圧。
ガルーダは、実は一番企画に困ってしまって、極ガルーダってスパルナとチラーダと竜巻がメインのギミックなんですね。
それを絶にしたからといって、スパルナとチラーダがさらに躍動するっていうのも違うよな~って困ってました。
で、悩んでたときに、高気圧と低気圧っていう妙な名前のステータスがあることに気付いた。
「あ、これ使って変なの作ろう」っていうのが、ガルーダのギミックの始まりのところです。

(吉田P/D)見てわかる通りね、元のガルーダは彼が担当したわけじゃないからね。

まず、気圧について知ろうとするために、天気予報士の知り合いを探すところから始めました。
これ全部話すとちょっと長いので、結末言っちゃうと、「気圧差が激しくなると強い風が発生する」っていうシンプルな所だけを取り入れることにしました。
これを覚醒ギミックと絡めて、ガルーダに落とし込んだ。
ここで気圧のルールを制定したので、一番最初のボスだからこそ、一番最後までお付き合いいただこうかな、というのがガルーダのコンセプトになってます。
次、イフリートのの話です。

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(横澤氏)こいつはもう一つだけで「クリムゾンサイクロン」。
あちこちからいっぱい突進してくるっていうイフリートの絵を作りたかった。
覚醒すると「楔を壊した順番に突進してくる」っていう方法に変わるんです。
一見凄い理不尽なんですけど、ちゃんと仕組みを理解してキチンと攻略をすると、とても綺麗に避けることができるっていう上手く出来た感を演出したかった。
ただ予想外だったのが、楔を壊した順番と(突進してくる方向が)連動しているっていうことに光の戦士達が気付くのが、想像よりもものすごく早かったんです。
絶バハで色々変なことをやってきてしまったせいで、対応力というか、ギミック考察の視野が凄く広くなってたんですよね。

(吉田P/D)イフリートでかなり詰まるんじゃないかと予想してたんですが、ここはライブストリームを見てる方が攻略の手助け、
「これ楔を壊した順番にとんできてる気がします」っていうコメントを攻略してるプレイヤーに届けたり、
やってる人と応援してる人でギミックを攻略してくっていう所が僕らの想像を超えて上手く働いたとみてます。

(横澤氏)ちなみに、Mr.オズマに、彼は極イフリートの担当だったんですけども、
「何か極イフリートでやり残したことはある?」って聞いたんです。「ヒーラーをもっと虐めてくれ」って言われました。

(吉田P/D)何でここでMr.オズマのヘイトを上げるんだよ(笑)

(横澤氏)道連れにしようかと思って(笑)

(吉田P/D)犠牲者が増える前にタイタンに行くよ!

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(横澤氏)タイタンなんですけど、今回も心を折る印象的なヤツになったんじゃないかなーと思います。
タイタンのコンセプトは、「須藤にしょう」。

(吉田P/D)全然意味わかんないよw須藤って何?

(横澤氏)須藤って言うのは、タイタンとか絶バハムートを作ったFF14の誇る悪意のあるコンテンツデザイナーです。

(吉田P/D)光の戦士を100万人くらい引退させてる気がする...(極タイタン、侵攻編、起動編、律動編で)
(横澤氏)ちゃんと説明しますね。タイタンというコンテンツのコンセプトのものって、極で完成してしまったんですね。
例えば、ランドスライドの猶予をもう少し短くするとか、あの地面(ステージの事だと思われる)をもっと狭くするといったことをやってしまうと、あのコンテンツは破綻してしまうんですね。
なので、その上位は作れない。じゃあどうしようかと思って開発ステージでタイタンを一匹だけポツンと出してジーッと見つめてたんです。
そしたら不思議なもので段々須藤に見えてきたんです。
タイタン戦のときに何となく須藤の顔が浮かぶのはわかるんですけど、何もしていないタイタンを見てるのに須藤が浮かんでくる(笑)。
そこで、解ったんです。そうか、須藤こそがタイタンなんだ。
これはもう須藤を作ればいいんだというのがわかったので、タイタンのコンセプトは「須藤にしよう」にした。

(吉田P/D)ぜんぜんわかんねーよ(笑)
FFシリーズの開発者ってこういうちょっと変わったやつおおいんですよね。僕が一番まともですよ(笑)
須藤はもういいかな?じゃあラハブレア行こうか。

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(横澤氏)ラブレアフェーズ、ここは色々な役割を果たしているすごく重要なフェーズ。
特に、覚醒ギミックをこなしていなかったときに、このフェーズが絶対に超えられないようにしてるというストッパーとしての役割。
ここが最も重要で、ここがちゃんと動いてないと、全てが破綻してしまうところなので、公開してからも「頼む、バグらないでくれ!」とドキドキしてました。

(吉田P/D)ここが想定した攻略以外で突破されてしまうと、そもそもその手前の三体の蛮神を覚醒しなくてもクリアできてしまうことになりかねないので、ここは凄くプレッシャーだったんじゃないかなと思います。
だから、このフェーズのコンセプトはこれなんだよね。「Yokozawa's Final Judgement」

(横澤氏)そうですね、ここは最も重要で、とにかく気を付けていた部分になります。
もう一つのコンセプトが、限界突破と、吸収の演出。
ここはもう魅せる所だと最初から分かっていたので、ここまでの展開も含めて頑張って作り込もうと決めていた部分。
決めていた自分のお話的には、数々のパワーアップした強敵を倒したことで得た力。
これを使ってギリギリの状態で何度でも限界を超える(LBのこと)。
でも今度は、倒した強敵たちが新しく出来た敵にあっさりやられてしまう上に、食べられてパワーアップされてしまうっていう絶望感。
このドラマ性をこのフェーズで描きたかった。意図もちゃんと伝わっていたと思うし、「とても良い体験になった」という声も凄く多くて、ここは頑張って良かったなと思った部分です。

(吉田P/D)では続いて、アルテマいいかな?ついに出てきたアルテマ

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(横澤氏)絶アルテマウェポン破壊作戦なのにやっとアルテマウェポンが出てきた...(笑)
アルテマウェポンは、3つのフェーズをコンセプトとして作ってます。
全ての蛮神が出てきて、なんかごちゃごちゃする究極幻想フェーズ。
蛮神たちが究極履行技を次々と放って行く「力」を表現した蛮神履行フェーズ。
そして、締めくくりとなる、エンレイジフェーズ。
お話の展開を考えると、どれも重要なフェーズになります。
まず究極幻想フェーズの話からさせていただきます。

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(横澤氏)究極幻想フェーズは追撃、爆撃、乱撃と3つあります。まず追撃から。
ここのテーマは、「範囲パズル」というものです。このフェーズは、僕からの皆さんへのメッセージとして作ったフェーズになってます。
初見ではわけのわからない同時攻撃がグチャグチャになって、「なんだこれ、アルテマウェポンヤベェ!」っていう気持ちになってくれたかなと。
「これから始まるのは、こういう戦いだぞ?覚悟はできたな?」っていうメッセージを僕から皆さんにお伝えしたつもりです。
とはいえ一見グチャグチャな攻撃なんですけど、ちゃんとこのフェーズを解く手がかりとして、今まで(ここまでのフェーズで)ルールを制定してきました。
覚醒すると追撃効果が発生するものが、必ず各蛮神一つあるというのをちゃんと見せるようにしてきた。
なので、追撃の各蛮神を見てから、各蛮神のフェーズに戻ってどういう範囲になっているのかを正確に研究することが出来るようにしておきました。


(吉田P/D)あれ実際に開発資料から抜いてきたんだよね?

(横澤氏)そうですね。

(吉田P/D)皆さんあんまり見たくない絵だと思いますけど、開発チームいっぱいあるんですよね、ああいう絵が。
あの白い部分(ガルイフタコアルテマの攻撃が一つも来ない小さな部分)以外は全部死亡します。

(横澤氏)でも、何だかんだで皆ああいうの好きじゃないですか?(観客から歓声)

(吉田P/D)なんでお前煽るんだよそこで!(笑)須藤もそうだしMr.オズマもそうだけど...
なんでそんなに煽るんだろうね。

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(横澤氏)じゃあ次行きます。二つ目が爆撃の究極幻想というフェーズです。
ここは、最初のコンセプトの一つであった、初期攻略勢向けの難易度を実現するための、攻略の練り直しを集約させたフェーズになってます。
ここで、ガルーダの気圧をどう運用するべきだったのかとか、球にどう当たるべきだったのかというところで、何回も攻略を練り直してもらったんじゃないかなと思います。*2*3
一応自分の想定では、4回練り直してもらうつもりでした。
爆撃フェーズは前半と後半の二部構成で考えてます。
これは後にある、シェア球のフェーズっていうのが後半の部分。
折角ここで球っていう言葉がでてきたので、FF14における球っていうものを番外編でお話ししようかなと思います。これを見ていただきたいんですけど...

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(吉田P/D)確かに、FF14やたらと丸い球が出てくることが多いよね。

(横澤氏)FF14の球って、開発視点で申し訳ないんですけど、ものすごい便利なんですよ。
妙なギミックを考えたときは、とりあえず球を出しておけば解決ができる。
光の戦士たちは球に訓練をされ過ぎているので、とりあえず球を出すと、「これはどんな役割を持った球なんだろう?」って受け入れてくれるようになってるんですよね。

(吉田P/D)誰がそうしたんだよ(笑)
確かに、球が出てきたら「当たるのかな...逃げるのかな...誘導して誰かにぶつけるのかな...?」って、
何故球なのかは考えないよね。

(横澤氏)そこが本当に便利なところなんです。
球からは、範囲攻撃が出てもいいし、レーザーがでても十字が出てもかまわない。
球に当たってもいいし、当たらせなくてもいいし、複数人で当たらせてもいい。

(吉田P/D)わかったわかった、球は便利だな(呆)

ちなみに類似で、線っていうのもあるんです。

(吉田P/D)段々嫌な思いをしてくる...これからもFF14はたくさん球が出てくるというお話でした。

(横澤氏)球に適応してください。次は乱撃の究極幻想のお話です。

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(横澤氏)ここはいかにロジカルに、攻略方法を練るかというのをメインのギミックにしました
FF14のボスって、タイムテーブルがあらかじめ決まっているんですね。
自分がボスモンスターを作るときは、何秒後に、どのモンスターが、何をするっていうのをまず全部表にバーっと書いてから実装を始めます。
これが実際に乱撃の仕様書から持ってきた図なんですけど...これは今まで考えた中で、もっとも複雑な組み方をしたギミックになっています。
何も考えずに適当に重ねると超えられなくなってしまうけれども、あんまり猶予をあげすぎると今度は全然難しくなくなってしまうので、
0.5秒単位でどのタイミングで誰に何をさせるというのを組み替えて考えるという作業をしました。
各チームの乱撃の攻略方法を見たときは凄く感心したというか、自分が想像していたよりもものすごく綺麗に解いてくれていたので、見てて面白い部分だなと改めて思いました。

(吉田P/D)ここは本当に綺麗に皆さん一糸乱れぬ動きで完璧に解いてくださったので、見てて僕らも嬉しかったところですね。
これを見てもわかる通り、Mr.アートマは元プログラマーっていうのもあるけど、ものすごいロジカルに設計します。
ほぼこの表の時点で(ギミックが)完成に近い。

(横澤氏)このフェーズは最初のコンセプトにあった、二種類の難易度というのが最も顕著に出ているところで、初期攻略向けと、後続向けの難易度を綺麗に分けた作りになっています。
もし物足りなかったっていう方がいたら、次の絶とかでは、是非初期攻略からやってみるのを考えてほしいと思います。
究極幻想フェーズはこれで紹介が終わったので、次は蛮神履行フェーズについてお話させていただきます。

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(横澤氏)蛮神履行フェーズは凄く演出的な意味合いの強い、力押しのフェーズとして作りました。
最終フェーズのエンレイジに向けて、すさまじい量のエーテルが放出されたというのを見せておかなければならなかった。
ギミックとしては単純なんですけど、皆で意識を合わせて同じ動きをしたりとか、軽減を誰がどのタイミングでどう分担するかなど、
自分以外の皆の存在を強く意識してもらいたいという意図でこのフェーズを作りました。
ちなみに、アルテマウェポンは蛮神に履行技を使わせるために、蛮神を召喚する演技をしているんですね。皆さん気付いてましたか?

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(横澤氏)これら召喚の演技は、履行フェーズだけではなくて、通しでちゃんとやっていたことです。
ギミック的にはなくても何の問題もないんですが、ちゃんとアルテマウェポンを表現するという意味で、
単体を召喚するときはこの演技、纏めて出てくるときは右下の究極幻想の演技をするルールを決めました。

(吉田P/D)攻略に必要かと言われるとそうじゃないんだけど、こういう演出に拘って、それにVFXチームが協力していくところがFFの拘りなのかなと思います。

(横澤氏)ギミック中はごちゃごちゃで確認しずらいんですけど、機会があれば是非見てみてください。これが蛮神履行フェーズのお話でした。
そして最後に、エンレイジフェーズの話をさせていただきます。

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(横澤氏)このフェーズの印象がこのコンテンツの印象になると思って作りました。
演出の方の話しましょう。
これは思いを託して散って、残されたものは死力を尽くす王道の展開を作りたかった。
最初の企画ではダメージが高い順(実装版は低い順)に狙われて、他の人はそれを何らかの方法で庇うことができるギミックを考えていた。
実装上の都合で、その表現をFF14で作るのが凄い難しかったんですね。

(吉田P/D)つまり、Mr.アートマのDPSが高かった場合、君が最初に狙われるから、俺が「俺を先にやれ!」ってできるようなのをやろうとしたってことだよね?
だけど、出来なかった。

(横澤氏)どうやっても絵面がパッとしなかったんですよね。狭い所でごちゃごちゃしてる絵にしかならなくて、結局この企画は一旦諦めました。
代わりに、最終的に同じ結果になるよに、総与ダメージが低い順に狙われるという企画に変更しました。
後は皆さんの想像力に託そうと。
もし、「低い人から順番に狙ってくれるなんてアルテマウェポンは優しいな」と思ってしまった人は、ちょっと熱い心が足りてないです。
もう少し純粋にコンテンツを楽しんでいただきたい。
身代わりになって、後を託す展開なんだというところまで見えた人。その心をこれからも大事にしていただきたい。

(吉田P/D)本当におかしな開発者ばっかなんだよな~...わかったわかった、君のFANTASYはわかったよ(笑)
(横澤氏)ただこのフェーズ、一個だけ想定外なことがあって、ちゃんと計算して作ったんです。
残った者に意志が継がれて、託された"光の戦士"がギリギリ倒すというものをやってもらおうと思ったはずだったんだけど...

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(横澤氏)W1stのクリアチーム(Entropy)で、アルテマウェポンを倒したのが、光の戦士じゃなかった。これは計算できないです。

(吉田P/D)W1stが光の戦士じゃないんだよな(笑)

きっとW1stチームの召喚士(Leithのこと)が「後はお前に頼んだ!」って(笑)
まぁでも、こういうドラマがあるのがW1stレースの良い所かなと思います。

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(横澤氏)エンレイジフェーズを一度見ることによって、アルテマウェポンの目的っていうのが、光の戦士たちを消滅させることだというのがわかる。
突然出てきたアルテマゲージがなんなのか、それがバトルにどう影響してるのか、このタイミングで一本につながるように作ったつもりです。
これがこのコンテンツのお話の裏側になるんですけど、今日はもう説明してしまうんですが、絶アルテマウェポン討滅戦っていうのはこういうお話だったんです。

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(吉田P/D)読めねぇ(笑) これ、アルテマウェポンの君が考えたストーリーなの?

(横澤氏)これは僕が頑張って考えたというよりは、最初からこういうお話なんです。

(吉田P/D)何を言っているのかわからないよ(笑)

(横澤氏)このアルテマウェポンなら、光の戦士たちを消滅させるだろうと考えたところから、それならばここはこうなる、あそこはこうなるとお話が勝手に決まっていった。
なので、覚醒ギミックを含めた一連の話っていうのは、最初からこうだったんです。

(吉田P/D)こうなる運命だった、必然のようなものだって言いたい?(笑)

(横澤氏)必然というよりは、最初からからこうだった(笑)

(吉田P/D)我々常人にはわからないよ!こういうおかしなやつなんです。

(横澤氏)じゃあまぁ、絶アルテマウェポンをめぐるお話っていうのが、これはこういうお話だったのかっていうのを、僕が理解した。
その時に、僕の、このコンテンツにおける、最初の意気込みが決まったんです。それは...

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「俺が見せてやる!本物のエンレイジってやつをな!」
そこまで壮大な話が裏側にあるなら、結末は劇的なものじゃないとコンテンツが成立しなかったんですね。
ならば、「俺が真のエンレイジを、物語の最後というのはこういうものだというのを見せてやる!」
最初にこの気持ちを強く持ったことで、いろんなことがぶれなくなったので、色々なものを乗り越えることができた。

(吉田P/D)結果ね、さっきも言ったけど、コストをかけずにリソースを使いまわしてって言ったけど、エンレイジフェーズは全く使いまわされてないよね!

(横澤氏)エンレイジフェーズにコストを割くために使いまわした、とても上手に作ったんです(笑)

(吉田P/D)「本当のエンエイジフェーズ」を見せつけられた開発チームの我々はですよ、次の(絶)コンテンツ作るのがスゲー大変になるんですよ。
次どうなの?絶作るつもりはないの?

(横澤氏)んー...絶バハムートの担当の須藤さんも言ってたんですけど、
一回絶をやると、暫くはいいかなって気持ちにちょっとなりますね。ちょっと充電期間が必要です。

(吉田P/D)でもさっき絶シリーズを作れるのは3人しかいないって言ったじゃない?
須藤が作ったでしょ、Mr.アートマが作ったでしょ、あと一人しかいないじゃない。

(横澤氏)がんばってもらいましょう(笑)。

(吉田P/D)じゃあ、少し時間が経ってでもいいから、もし次に絶をやらざるを得ないとしたら、何を作ってみたい?

(横澤氏)作って楽しそうだなと思うのは三闘神かな...?

(吉田P/D)ほぉー...ズルワーンが絶になるのが全然想像つかないんだけど(笑)

(横澤氏)多分床が落ちる前に5分くらい戦うんじゃないですか?色んな球だして5分...

(吉田P/D)セフィロトはあれ以上デカくならないよ?

(横澤氏)挟まれる感じにしましょうか?

(吉田P/D)もしかしたら下半身出てくるかもしれない(笑)
まぁそんな感じで...まだまだ色んなコンテンツ作ってもらおうと思ってます。
最後に、明日もPLLで青魔導士の特集やってきます。その時も彼に青魔導士がどういうジョブなのか、一緒に説明してもらおうと思ってます。
では最後に皆さんにご挨拶を。

(横澤氏)はい。今後も、喜びと、驚きと、そして絶望を皆様にお届け出来るように頑張りますので、これからもFF14を何卒宜しくお願い致します。

*1:MrHappyの配信を踏まえて言っていると思われる。日本時間深夜にラハブレアに到達したが、覚醒に気付いて日本時間翌早朝ガルーダからやり直すという情報を残した。

*2:ガルーダの気圧・・・最初のフェーズの低気圧デバフをここまで持ち越し、ここと次の乱撃の究極幻想で消費する必要があること。

*3:球にどう当たるべきか・・・乱撃の究極幻想後の球の線を伸ばす為、このフェーズで球のダメージを食らう人数を調節する必要があること。